展示会など6−2012年4月















≪南蛮美術の光と影−泰西王侯騎馬図屏風の謎≫@神戸市立博物館

公式サイト http://namban.exhn.jp/

今年度、もっとも期待していた展覧会の1つ。南蛮の逸品がこれだけ一堂に会する機会はめったにない。10時の開館時にすでにお客さんが並んでいた。

狩野内善『南蛮屏風』(神戸市博。重文)は、長崎で複製をよく展示していたので見慣れていたつもりだったが、腰高でみると新しい発見があっていろいろ楽しい。ポルトガル船の旗の図像は面白いと思った。

狩野山楽『南蛮屏風』(サントリー美術館)で、南蛮寺の窓をすべて閉め切って描いているのは禁教と関係がある、とのこと。では、宣教師を描くのはよかったのか。寺はやはりシンボル、ということかな。

ポルトガル国インド副王信書』(妙法院。国宝)は待ってました、ありがとう。初見だが、状態の良さに驚く。圧巻。眼福。

『三聖人像』(東博)は原本と模写が出る。模写もキリシタン時代のものとのことで面白い。両方とも奉行所没収品なので、宗門蔵にあったのだろう。宗門蔵の没収品原簿が現存していたら楽しいのに、と長崎でも時々夢想したが、ないものを惜しんでも仕方ない。解説では、原本は1614年以前の舶載と推測するが、この推測が正しければ、模写の方はセミナリオあたりで制作されたのだろうか。

『南蛮屏風(岬教会の南蛮屏風)』は東京会場のみの出展だが、図録の写真をまじまじと眺めながらあれこれ推理するのは楽しい。県庁移転の賛否はともかく、移転するにせよ、建て替えるにせよ、発掘調査でさまざまな新しい事実が明るみに出ることだけは間違いない。

『万国人物図』(神戸)は勝盛さんの解説では伝統的な漢画(狩野派系)とのこと。正保2年刊『万国総図人物図』の由来の問題とあわせて、気になる作品。

『都の南蛮寺図』(神戸)はよく使われる資料だが、初めて実見。1576年にイエズス会が四条坊門姥柳町に献堂した被昇天の聖母教会らしい。ここでスピノラが数学を教え、フェレイラはそれを見ていたはずだとする論文を読んだことがあるが、資料的な裏付けは希薄だった気がする。塚原さんの解説によると、イエズス会は1600年に下京教会を再建、上京にも新しい教会をつくったとのこと。

『銅鐘 IHS紋入』(妙心寺塔頭春光院)。上の、都の南蛮寺にあったと伝わるらしい。キリシタン時代の鐘はいくつか見たが、はっきりIHSの入ったものは初めてで、伝承の蓋然性を高めている。

長崎・古賀村(JR長崎本線肥前古賀あたり)の寺院の柱の中にあったという『キリストけい冠像銅牌』は17世紀のスペイン製とのことだが、年代・産地の絞り込みの根拠が気になる。

福井医家伝来(越前北ノ庄)のキリシタン資料はすぐれたコレクション。とくに『赤地刺繍心臓形聖遺物入れ』は素晴らしい。

(以上、第2章まで)