2013-01-01から1年間の記事一覧

近著『南蛮系宇宙論の原典的研究』

本を出しました。すでに多くの皆様に紹介して頂き、感謝です。この本が、一人でも多くの読者を得られるよう、願っております。 本書は九州の一部の書店以外はほとんど店頭に並ばず、AMAZON等のネット書店での展開もありません。内容や注文方法については、下…

2013年について

今年は初の単著刊行とそのキャンペーンを中心に、かなり詰め込んで仕事をしてきた。尊敬する先生や同学の方々との出会いや、また新たに追究すべき史料・分野との出会いも多くあって、来年以降につながる充実した年だったと思う。本当に多くの方にお世話にな…

展覧会など37〜47−2013年10〜12月

37<幕末の肥後:黒船来航の衝撃>@熊本県立美術館 38<今西コレクション名品展>@熊本県立美術館 39<Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術>@熊本市現代美術館 40<「鳴滝塾」の誕生:シーボルトと高島秋帆>@シーボルト記念館 41<Perma…

展覧会など24〜36−2013年9月

24<<視覚革命!異国と出会った江戸絵画―神戸市立博物館名品展(後期)>>@九州国立博物館 展示目録:http://www.kyuhaku.com/pr/exhibition/images/topic/105/h01.pdf25<<更紗−館蔵名品展−>>@九州国立博物館26<<平常展示>>@九州国立博物館27<…

展覧会など21〜23−2013年8月

21<<視覚革命!異国と出会った江戸絵画―神戸市立博物館名品展(前期)>>@九州国立博物館 展示目録:http://www.kyuhaku.com/pr/exhibition/images/topic/105/h01.pdf22<<平常展示>>@九州国立博物館『禅宗の祖師』6幅、乾峰士雲賛、14c、福岡・承天…

東大出版会『UP』連載:幻の「南蛮」写本を追え!

宣伝ですが、東大出版会のPR誌『UP』で、BHヒライさんプロデュースの初期近代精神史リレー連載がいよいよ始まります。詳細はこちら↓http://www.geocities.jp/bhermes001/bhup.html私は第1回目の9月号に「幻の「南蛮」写本を追え−科学伝来とキリシタン…

会議終了

学習院女子大での、初期近代精神史国際会議“Western Conceptions of Nature and Japan's Christian Century”(科研「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀」+JARS主催)が終了しました。 坂本さんの参加記はこちらです。http://d.hatena.n…

講演・合評会「科学伝来」

東大科哲での拙著講演会・合評会「科学伝来−南蛮系宇宙論と近世日本」、無事終了しました。コメンテーターの皆様をはじめ、多くの貴重なご意見を頂くことができ、本を出すことの意義をかみしめつつ、研究の醍醐味を味わうことができました。あらためて参加し…

展覧会など13〜18−2013年5〜7月

13<<ラファエロ展>>@国立西洋美術館14<<せいかどう動物園>>@静嘉堂文庫美術館15<<大ベトナム展>>@九州国立博物館16<<歌川国芳展:奇想の浮世絵師による江戸案内>>@長崎歴史文化博物館17<<マリー・アントワネットと東洋の貴婦人―キリス…

展覧会など11〜12−2013年5月

11<<天草が生んだ肥後の名宝 高浜焼 〜はじめて明かされる歴史と美の全貌>>@八代市立博物館未来の森ミュージアム http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/event/2013/2013_spring.html県重文を含む112点。伊万里風「色絵草花宝珠紋蓋付壺」など…

展覧会など06〜10−2013年4月

06<<江戸のサイエンス:武雄蘭学の軌跡>>@九州国立博物館 http://www.kyuhaku.com/pr/exhibition/exhibition_pre102.html『蘭書目録』20冊現存 1839-60(展示は1849, 1857) 武雄の蘭書 121部262冊収集、69部138冊現存『起請文』1835-40 『威遠龍砲術初…

展覧会など01〜05−2013年4月

01<<近世人の絵のある暮らし>>@島田美術館 http://www.shimada-museum.net/event.html 02<<北斎展―世界が絶賛した浮世絵師―>>@熊本県立美術館 http://www.museum.pref.kumamoto.jp/event_cal/pub/detail.aspx?c_id=10&id=19&trk_kbn=N 03<<細川…

『西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀』 とJARSオフィシャルHP

科研費プロジェクト『西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀』とJapanese Association for Renaissance Studies (JARS) の正式ホームページができました。ここです http://renaissancejapan.org/ 開設の経緯と日本語での情報は、以下で紹介…

Japanese Association for Renaissance Studies(JARS)仮HP立ち上げ

科研費共同研究計画(基盤 B) 『西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀』 Renaissance Culture and Japan’s Christian Century, 1550-1650 (代表者・根占献一 学習院女子大学教授・ルネサンス研究会代表)を母体として、世界に目を向けた…

天草における初期キリスト教布教史19

2−7.その他 その他、「祝別された蝋」や「十字架が出現した樹木の小片」が信仰の対象となっていたことや、金曜日に肉を食べない習慣についての記録がある。 [1609、1610年度年報「天草島の志岐、上津浦、粼津のレジデンシア」] これらのレジデンシアに…

シーボルト記念館『鳴滝紀要』第23号

ご恵贈頂いたので、目次を紹介させて頂きます(論考のみ)。 野村正雄「シーボルトは富士山などを何時どのように測高したか」 1野藤妙・石山禎一・宮崎克則「門人たちの染料に関する3つのオランダ語論文の翻刻と翻訳−ブランデンシュタイン家所蔵とボッホム…

天草における初期キリスト教布教史18

2−6.聖水 宣教師の記録からは、天草のキリシタンたちがさまざまな機会に聖水を利用していたことが窺える。 [1596年の年報「志岐のレジデンシアについて」] 悪魔はある迷信的な呪術の後に、或る女に当然乗り移った。しかし彼女がひどい苦痛のため鋭い叫…

天草における初期キリスト教布教史17

2−5.漁の神潜伏期の崎津キリシタンは、デウスを漁の神として奉じ、魚肉やタイラギ・アワビ等の貝類を捧げていた。キリシタン時代においても、天草の漁民らがキリシタン信仰と漁の成功との間に関連性を見出していたことを示す記録が見られる。 [1596年の…

天草における初期キリスト教布教史16

2−4.葬儀についてhttp://www.city.amakusa.kumamoto.jp/bunkazai/pub/detail.asp?c_id=151&id=16&kbnmst=0&shumst=1&ckimst=0 キリシタン時代の天草では、信徒が亡くなった際、教会の香部屋係がその埋葬に携わっていた。そうした人々の存在は、現存するキ…

天草における初期キリスト教布教史15

2−3.苦行(鞭打ちなど)キリシタン時代天草の信徒たちが、鞭打ちなどの苦行を行っていたことを示す記録が多く残されている。 [1596年度年報「大矢野のレジデンシアについて」] 聖週間の諸曜日には、彼ら[=大矢野のキリシタン]は自分の肉体に血が出る…

長崎新聞で紹介して頂きました

長崎新聞で今度出す本のことを紹介して頂きました。厚く御礼申し上げます。

天草における初期キリスト教布教史14

2−2.メダイ、メダリオンhttp://www.city.amakusa.kumamoto.jp/bunkazai/pub/detail.asp?c_id=151&id=32&kbnmst=0&shumst=3&ckimst=0&type=1 メダリオン(表および裏面。17世紀。天草市立天草キリシタン館蔵):崎津に伝来。片面に「無原罪の聖母」とラテ…

展覧会など60-65−2013年3月

60<<常設展>>@五島是山記念館61<<常設展>>@リデル、ライト両女史記念館62<<常設展>>@徳富記念園63<<常設展>>@夏目漱石内坪井旧居64<<常設展>>@旧細川刑部邸65<<常設展>>@湧々座

ルネサンス研究会@学習院女子大学

5/19(日)学習院女子大学で、第40回ルネサンス研究会が開催されます。ラファエロ展(国立西洋美術館)に合わせて関連研究者が来日するのを機に、世界的視野に立って行なうルネサンスに関わる国際研究集会です。詳細は http://bit.ly/10cMJB7 まで

天草における初期キリスト教布教史13

2.初期布教期の信仰形態と現存遺物 初期布教時代における天草キリシタンの信仰形態について、その全容を明らかにするためには、現状の史資料はあまりにも限定されている。この問題に関する日本側の同時代記録は事実上皆無であり、主たる源泉である欧文記録…

天草における初期キリスト教布教史12

これらはいずれも各村を代表するキリシタンと考えられるが、とりわけ崎津の松永治部左衛門(味け留[ミゲル])は、1629、1630年度日本年報に殉教者として名前が見える「ミゲル治部左衛門」と比定され、崎津のコンフラリアにおいても中心的な役割を果たした…

天草における初期キリスト教布教史11

強まる迫害と天草・島原の乱徳川幕府によるキリシタン弾圧は、天草においても過酷を極めたが、各地に潜伏・巡回していた宣教師たちと信徒との結びつきはなお緊密なものがあったようである。1615、1616年度の日本年報には、以下のように記されている。 肥後の…

展覧会など58・59−2013年3月

58<<仏画へのいざない>>@八代市立博物館 未来の森ミュージアム59<<常設展>>@ジェーンズ邸

天草における初期キリスト教布教史10

これらのコンフラリアの活動内容や指揮系統の詳細については不明な点が多いが、迫害のさ中にあって、その存在は信仰の維持に寄与したものと思われる。慶長9年(1604)には寺沢による迫害が激化し、司祭らが常住している2つの教会(志岐と上津浦)以外のすべ…

天草における初期キリスト教布教史9

コンフラリアの成立寺沢が天草に入った慶長6年(1601)に前後する形で、天草のキリシタン社会で起こった特筆すべき出来事として、コンフラリア(信心会、兄弟会、講などと訳される)の成立を挙げなければならない*1。コンフラリアは、キリシタンの平信徒によ…