展示会など7〜9−2012年5月













7≪珍獣?霊獣?ゾウが来た!〜ふしぎでめずらしい象の展覧会≫@長崎歴史文化博物館、6月9日

狩野内膳『南蛮屏風』(文化庁)は、神戸本の左隻とよく一致するが、地球図(北極?南極?)も入っている。

関西大学図書館の象コレクションは、大庭先生の集められたもので、質量ともにすばらしい。
とくに伊藤東涯賛『渡来大象之図並賛』、象の献立は興味深く拝見。

暁斎の『天竺渡来大評判象之戯遊』(長崎)は見ていて楽しくなる作品。

長崎の名刹・春徳寺の釈迦三尊像は、調査にも同行させてもらったが、じつに見事。興福寺さんにも同種の三尊像があると聞く。

すぐれた個人蔵コレクションも大量に出ている。特に逸然画・隠元賛『達磨騎象図』が目をひいた。

神戸市博の『中国宮廷図』と『異国海港楼閣図』は中国の民間洋風画とのことで、チャイナトレードペインティングとあわせて、ここ数年とても気になっている類の作品。とくに後者には、「戌」「東西南地(北の誤りか?)」「天地和(+α?)」「春夏秋冬」の文字の入った、なにやら不可思議な球体が。気になる。

象牙西洋人物文小箱』は表のレリーフが見事なだけでなく、フタ裏に荒木如元の原画と記される由。

チラシ等で目玉にはなっていないが、脇を固める作品群も充実している。

後期も見に行きたいと思う。


8≪ミニ企画「長崎今昔展」≫@シーボルト記念館、6月9日

七面山妙光寺にあるという「石垣築造記念塔」の写真が目に入る。
烽火山中腹にある同寺(鳴滝3丁目。江戸期は七面山権現社などと称した)の石垣を文政9年(1826)に築造したときに建立した記念塔らしく、施主の一員として美馬順三や二宮敬作、戸塚静海の名前が刻まれているという。

また「鳴滝岩」についての解説には、「刻文は林道栄の字をもとに、皓台寺住職の黄泉が最彫したとされる」とのこと。
















9≪肥後の博物学・科学技術〜細川重賢の本草学から近代テクノロジーへ〜≫

肥後熊本の科学技術史にまつわる文化財を、近世期を中心に展覧する。

入り口付近の重賢筆博物図譜草稿(熊博)は、重賢所用の机から出てきたものとのこと。

ヘイサラバサラ(熊博)は、ポ語pedra bezoarに由来するとのこと。牛馬の結石らしいが、随分大きい。

烏犀圓の看板(個人)には「登録商標(ゾウ?に月桂樹)」「本舗 肥後熊本市新壹一丁目渡辺敬右衛門製」「和漢洋第一強壮之良剤」。佐賀で今も作っている会社があるらしい。

烏犀圓銘合子蓋(熊本市教委)の染付け:「肥後/烏犀圓/渡辺/一廻入」。長崎の唐人町(唐人屋敷跡のことか)でも出土例ありとのこと。

和算資料のうち、44除法、47算術文章問題、48和算新書問題、は江戸〜明治期のもので、三宅家資料(熊博)とのこと。

43算法提要(写本。熊博)は、奥書に熊本藩士・牛嶋五左衛門(算学師として召しだされたらしい)から同藩士・吉田三郎助に伝授とある、との由。

訳あって途中までしか見られなかったが、是非再訪して後半部分も見たい。